「しっかしあれだ、マジで隆敏に彼女がいたとはな」
喫茶店ので隆敏の正面の椅子に座っている青年が言った。
「何だよ。悪いか? 真」
「紀子ちゃん」
その会話そっちのけで、隆敏の右に座った紀子の正面の女性が言う。
「はい。何でしょうか、杉野さん」
「呼んでみただけ。玲奈でいいよ」
「はい」
そういって紀子はオレンジジュースのストローに口をつけた。
「てっきり、俺は強がりで言ったのかと」
実は図星。
「可愛い彼女だよねー」
「まあな。お前らはよろしくやってんだろ」
「お、彼女取られたひがみですか」
「んなもん消えてるよ」 「おいしい」
ぼそりと紀子が言う。 食事がおいしい。これまで試したことすらなかったのに。
「じゃ、もう一杯頼め。こいつらの奢りだしな」
「ぁ、調子乗ってる」 玲奈が頬をふくらます。
「うん。じゃ、アップルジュースにしよっと」
紀子がウェイトレスを呼ぶ。 「アップルジュース1つ」
「俺はイチゴパフェ」 「隆敏って結構可愛いもの頼むね」
紀子が笑う。 「え?」
真が怪訝な顔をする。
「ふ?」 オレンジジュースを一気に飲もうとしながら紀子。
「いや、なんでもない」 隆敏はそんな真を見ながら紀子を二人に見えないように小突く。
やがて、イチゴパフェがやってきた。
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