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七

「ああ、寝ちゃったね、隆敏君」
「そうですね」
三人で一通りトランプなどをして騒いだ後、隆敏はいつの間にやらベッドで寝入ってしまっていた。
「僕はどうしようかな。寝る事は出来るけど、今はその必要ないし」
トムは人ではない。疲れれば眠る事もあるが、それは疲れた時だけだ。
「私は、眠れません。力を使いすぎた時は気が付いたら寝てるだけで」
「そうか。ものを食べられるのにな」
「はい。最近分かったんですけど」
紀子は隆敏のベッドの方を見た。
「成る程。隆敏君に勧められたんだ」
「どうして分かるんですか?」
「彼の人柄」
あっさりそう言って自分で買ったジュースの缶を取る。
「ああ、それと、これからは彼が心霊スポットとかに行く時は俺を呼んで」
「どうして」
「紀子ちゃん、君を見ても隆敏君は他の人間の様に驚いたり、怖がったり、怯えたりはしなかっただろ」
「はい」
「多分、彼は昔、ずっと小さい頃に“見えてた”んだよ。
 僕らみたいなのや、幽霊や、この世ならぬ、人ならぬモノ達が。
 時々、そういう子供がいるんだ」
トムはぐいっと残っていたジュースを一気に飲み干し、驚いた顔の紀子に、笑ってみせた。
「大人になっても見えるのは霊能力者って呼ばれる人達や、神社とかの血筋の人。
 隆敏君は見えなくなった方。でもどこかでそういうモノが在る事を覚えてた。
 だから紀子ちゃんみたいな普通の人にも見える霊にあっても、驚かなかったんだ」
「成る程。
 でもだからって、どうしてトムさんを?」
紀子は眉をひそめ、首を傾げる。
「どうしてって。そりゃ、彼がそういうモノが在る事を思い出しているから。
 つまり、見える感覚をどこかで思い出して、また見える様になってきたから。
 子供の時程ではないにせよ、そういう一般人はそういうモノに狙われやすいんだ」
つまり、とトムは続ける。
「君の所為じゃないけど、僕みたいな格上が居ないと、彼は喰われちゃうかも知れない。
 だから呼びなよ。君たち二人ぐらい守るのは、容易いからね」
そういうトムの言葉が消えてゆくのは、
人が皆眠った後の、
夜の静寂。



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