水玉。
18
水玉。

ごろり、とウリエルがベッドの上で寝返りを打った。
「あれ、今日は庭に出ないの?」
そう、ラエが掃除をしながら問うと、
「そこで親父と母さんがべたついてる」
ふて腐れたような声が帰ってきた。
それで、キャンベルは今日強硬に洗濯物を干そうとしていたのか。
結局、押し切られて洗濯物を干さなかったラエはため息をつく。
「新婚気分でもないみたいだけど」
ウリエルもため息をついてまた寝返りを打つ。
「……まあ、いいけど……」
そう言って二回、また寝返り。
その度に窓から差し込む陽光に、白銀の髪が煌めく。
イザナギは白銀、キャンベルは栗色の髪。つまり、イザナギの血の賜物。
イザナギとウリエル、どちらの髪も、とても美しい。
「ん?」
なんだか見とれてしまっていると、ウリエルは首を傾げてラエを見、それからラエの視線の先にある自らの長髪を見つめる。
「……この髪、二十まで誰の血のか分からなかった」
ぼそりと呟くように言う。
「え……」
「……親父の事は、母さんは何にも言わなくって。
 死んだのか、って勝手に思ってた。
 でも、母さんが貴族と付き合ってるのは分かってた。
 ……何も言わない事にしてた。
 なのに…」
そこでウリエルは黙ったが、続きは分かる。
いきなり父親が現れたのだ。そして、白銀の髪の由来が判明した。これ以上ない程はっきりと。
ラエは何も言えなかった。しかしウリエルは、くしゃりと歪んだラエの顔を見てはっと気付いたように顔色を変える。
その変化は微妙なものだったので、多分今は『無表情ウリエル』の方なのだろう。
「独り言みたいなものだから。
 ……それに、親父に会えた時、嬉しかったし」
「え」
「何でだよって思ったし、怒ったけど、嬉しかった。ずっと会いたかったんだもの」
まあ、あんなのだけど。そう言ってウリエルが笑う。
陽光に照らされて煌めくその顔は、ラエが思わず見惚れてしまう程綺麗だった。