水玉。
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水玉。

「お早う」
ラエが起きて食堂に行くと、ウリエルが二人分の温かそうな食事を前に声をかけてきた。
いつもの如くぼうっとした顔だが、薄く綺麗に微笑んでいるのが分かる。
「お早う」
微笑んで向かいに座る。
「今日はどっち?」
「……こっち」
わずかな動揺の後、だからどっちなんだよと聞き返したくなる答えが返ってきた。
だが、何となくウリエルの様子から察するに、いつものぼうっとしたウリエルの方だろう。
「ぁ、後言い忘れてた。俺、親父がいると見境無くあっちになるから」
それはラエも見当がついていた。あそこまでいきなりとなると少々強烈だが、まあそれはそれで彼らなりの事情があるのだろう。
それで、ラエは今朝気付いた、ウリエルに怒ったもう一つのわけを思い出した。
「ウリエル。起こってたり、言い争ってたりする時でも、私とかの言葉はちゃんと聞いて。それされて、更にむかついたんだから」
「うん」
素直にウリエルが頷く。
いつの間にか食卓に座っていたイェンが楽しそうに笑い声を上げた。
「ウリエル、いやに素直だの」
「・・・」
憮然とした顔でウリエルが朝食を口に運ぶ。
その様子が微笑ましくて、ラエはクスリと笑うと、ミルクをグラスに注いだ。
ミルクはよく冷えていて美味しく、朝食は暖かくて美味しかった。