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水玉。
18
水玉。

ポタポタと、鮮血が流れ落ちる。
それは生命力の結晶を示すような鮮やかな紅。
それを、レコン=ブラックは指から滴らせ、手に持っている紙にかける。
ポタリ。一滴。ポタリ。二滴。
「……ふむ」
そこで自分の手を眺め、一言。

「痛いな。視覚的にも感覚的にも」

「当たり前だろう、この馬鹿レコン!」
ルクスの鉄拳が飛んだ。

 *

「……?」
ウリエルは立ち止まり、人混みに目をこらした。
(今、ユダが……? 見間違い?)
いや、確かにいた。
そう確信してさらに目をこらすが、もう通り過ぎていってしまったあとらしい。
「ねえ、オーリス。ユダを招待した?」
「ああ、招待した。一応……な」
最後の方は言葉を濁してオーリスが答える。
「……ふうん」
『俺は誰なんだよ。ユダなのか?
 それとも――』
脳裏によみがえってきた痛切な叫びに思いをはせる。
ユダ。
彼は今も、やはり彷徨い続けているのだろうか。
「ヴェルトディール=ツァルツェイロ」
「その名で呼ぶな!」
いまいち代わり映えのない台詞を叫びながら、風の精霊が姿を現す。
「……君の名前はこれしかないでしょ。
 さて、早速だけど、ユダを見つけ出して、呼んできて」
「面倒くせえな」
「あァ? 一発殴ってやろうか馬鹿精霊」
がらりと口調を変え、ついでに『軽く』睨んでやると、
「お、脅すんじゃねえよ!」
顔を青くし、そう叫んで精霊は姿を消した。
「……脅す、って」
思わず苦笑が口から漏れる。
「あの程度で血の気が引くなんて、甘いなあ」
いや全然甘くないから、というオーリスの言葉はさらっと無視し、ウリエルは目的の場所である中心部へと足を向ける。
少し甘そうな、水の匂いが漂ってくる。
けれどウリエルには、それが苦く、暗く、残酷なモノに思えた。