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水玉。
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水玉。

どこからか、聞いた事もないような、笛のような楽器の音が聞こえてくる。透き通った、独特の音。
それと共に、打楽器の音。涼しげで、こちらもまた独特だ。
だがどちらも耳にちょうど良い調子で届き、独特のクセといえるものはあまり無い。
「龍笛と太鼓なのだけれど、少し素材が違うから。
 吹き手も良い腕だ……。でも、……」
ウリエルはそのまま、何か続けようとしたのを中断する。
「ウリエル?」
ラエは訝しんでウリエルの顔を覗き込むが、こういう時に限ってウリエルは何を考えているか分からない顔をしている。
ただ、少しだけ憂鬱そうなのは読み取れた。
先ほどの『ピーターパン』に関する事だろうか。
一応、ウリエルから、『ピーターパン』はディーリスの事だと聞いている。だが、それ以外は何も教えてくれない。
不満だった。だが、楽器の音しかり、新鮮なものが多くて、しかもウリエルそっちのけというわけにはいかないから、どうにも思考がまとまらない。
『空湖』のほとりにあるらしいからだろうか、ラエとウリエルが歩いている大理石のような、そうでないような、灰色の石のパネルから出来ている道の両隣にある建物の色彩は青を基調としている感じだ。
幻想的な光景。建物自体の基本的な造りは、ラエの知っている、ウリエルの家や街の家とは変わらないが、素材が違うのだろう、ラエには新鮮に見える。
その前にきっちりと間隔を取って、売り物の屋台。屋根代わりの幌を見た事のない白銀の金属の棒が支える。
全て同じ造りに見えるが、よく見ると幌についている房など、飾りが全て違う。屋台の主の工夫だろうか。
売っているものは様々だ。綺麗な絹の衣装から、美味しそうな饅頭、アクセサリー、香炉。
地上の祭りとさほど変わらないものも売られているが、それも少し珍しく思える。おそらく祭りの空気の所為だろう。
だが、その空気には適度に飲まれていなければならない。ある程度の判断力は持ち合わせておくべきだ。
(雰囲気にながされる事は、とても恐ろしい事だもの)
そういう風にはするが、楽しむ事は楽しもう。
あたりをさらに観察する。
人(?)の特徴は様々だったが、ディーリスに似た感じのものが多い。
数は少々まばらだが、それはウリエルが着地した入り口らしい場所あたりから、ラエ達がさほど離れていないからだろう。もっと進めばもっと混み合ってくるかも知れない。
そこらへんの事を、一応ウリエルに聞いておこうと思って口を開こうとした、その時、前を歩いてきた人物から声がかかる。
「ウリエル=メーシー=ウォッチサウンド。よく来たな」
「オーリス。
 ……月浮祭はいつも来てるでしょ」
肌は褐色、耳は尖り、瞳は海色、髪は茶。淡い青のゆったりした感じの衣に、水色のブーツ。ディーリスと、顔立ちが似通っている。
そんな青年がそこに立っていた。