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水玉。
水玉。

青い空に、白い雲。緑の夏草、小さな野の花。
ふわりと白いシーツがひらめく。
その隣に敷き布団、掛け布団。そしてその横にはためく、ウリエルの白いシャツ。
庭にかけられたロープの上に、ラエは鼻歌を歌いながら洗濯物を干していた。
「ラエ、働き者」
それを眺めてぼーっと目をこすりながらウリエル。
もちろん寝間着で、今日は薄緑のストライプ。
ラエがここに来て六日になるが、帽子となぜかいちいちセットになっているのに毎日違う柄の寝間着だ。
一度タンスが開けっ放しになっていたので掃除の時にのぞいてみると、派手な物からシンプルな物まで、計り知れないバリエーションで服が詰まっていた。
しかしそれを見る限り、普通のセンスがあるのはわかりはした。
ただ何故か一枚か二枚、妙な柄の物が混ざってはいたけれど。
「別に普通だと思うけど。雇われてるんだし、そうでなくても住んでるんだし」
「でも俺、二日に一回しか洗濯しなかったし」
それは一人暮らしだから。
「それはそれだと思うし」
「そう」
短くそう言ってウリエルは寝間着が汚れるのも気にせずにすぐ側に寝っ転がる。
ただし見るのは空ではなく、洗濯物を干すラエ。はためく白いシーツに、青いエプロンの、ラエ。
「なんか気になるんだけど」
「……気にしない、気にしない」
いつもの何を考えてるか分からない顔でウリエルが手を振る。
はぁ、とラエは息をついた。
こういう時はウリエルの言うとおりにしておくしかない。しておいた方が楽だし。
気にしないでいれば大丈夫。
などと思いながらウリエルのブリーフを取り出し、平然とロープにかける。
家でも家事を手伝っていたから、男(父)のブリーフは、見慣れている。
見られるのは気になっても、そういう事は平気、というのは変かもしれないけど、まあどうでもいい。
そう言えば父さんは元気だろうか。
何も言わないまま、家出してきてしまったけれど。
さわさわと髪と洗濯物を揺らす風。町ではこんな風が吹いただろうか。胸が締めつけられる。
「ねえ、ラエ」
「何? ウリエル」
「どうして・・・」
そのまま口をつぐみ、ウリエルはトンと地面をついて体操選手のような身のこなしで立ち上がる。
「……朝ご飯出来てる?」
「え? うん。保存庫にあるから、暖めて食べて」
「そう」
そのままウリエルは一直線に家の方へ向かっていった。
もしや、ラエの事を気遣って、どうしてこんな所にきたのか聞かなかったのか。
「そんなはず、ないよね」
ふっと微笑みを浮かべ、ラエは再び洗濯物を干し始めた。

家の中で、ウリエルは呟く。
「・・・なんか、誤解されてる・・・」
それから、食堂に足を向けた。
と、ふわふわと頭上から羽根が一枚ふってくる。
漆黒の、淡く紫に、妖しく光る羽根。
「……これ、は」
ほんの少し目を丸くして、ウリエルは驚きの声を微かに上げた。