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水玉。
水玉。

シンプルな細工のシャンデリアが輝く。
小さな明かりなのに、食堂は不思議と明るかった。
「ご馳走様でした」
「ごちそーさん」
二者二様の「ごちそうさま」だ。
「美味しかった」
フォークを空になった皿に置き、ラエはウリエルに笑いかけた。
本当に美味しかった。ともすればラエの母が作ったものより上。
「うん。まあ・・・一人暮らしも長いし・・・なれてる」
なるほどその言葉の通り、ウリエルは手慣れた仕草で食器を重ねて、鈍い色の銀製のワゴンの上に置いている。
ワゴンは作られた当初は綺麗に輝いていたのだろうけれど、だいぶ年季が入っているのだろう、色が鈍い。かろうじて錆びてはいないようだった。
「ああ、でもウリエルって若いのに」
「ううん・・・年寄り。ラエの100倍は生きてる」
何を考えているか分からない表情でウリエルは告げる。
百倍。冗談だろうか。表情が分かり辛いから分からない。
(でも、エルフとかいるし)
今では人と混血し、病にかかったりして純血を見かける事の少なくなった種族を思い浮かべる。
しかし耳はとんがっていたはずだし、人里離れた集落を作っているはずの彼らがこんな所にいるはずもない。
なら他の種族か。
ヴァンパイア? いや、彼らは人の生き血を吸う事を自ら禁じて、血液バンクに養ってもらっている者以外は人のように死んでいったと言うし、第一ウリエルに似合わない。
何を考えているか分からない瞳で、『・・・血、頂戴』。しかも寝間着で。
・・・面白い。
笑いをかみ殺すラエを微妙に眉をひそめて見るウリエルに気付き、ラエは曖昧に笑う。
いくら何でもこんな事を考えているのは失礼だ。まあ怒りはしないかもしれないけど。
「……冗談」
ぼそりとウリエルが言った。
うつむいて食器を片づけていたから、顔は見えない。
「そうなの?」
「うん」
そうか。冗談か。
そう思いながらも、なんだかしっくりこない。他の若い人達とは違う感じがぷんぷんするというのに。
本当だろうか。うそを言っているようには見えなかったし。
(まあ……別の長生きな種族なんだろうな)
そう思っておく事にした。
何故かその夜、よく眠れた。