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水玉。
20
水玉。

その日の夕日は紅く見事なものだった。
その光に照らされながら、ラエはウリエルに向かって礼をした。その顔も紅く火照った様に見える。
「お世話になりました」
「・・・いや、こちらこそ」
ウリエルも、感無量という感じで礼をする。
「あっという間に過ぎちゃったけど、この二週間、楽しかった」
「うん」
頷くウリエルに笑いかける。
あれからウリエルの、おそらくディルド山(クリファンの北にあるリンブルーク一高い山)の氷より冷たい視線に怯える両親を説得するのは簡単だった。
念のため念書も書いてくれた、いやほとんどウリエルが書かせたので、家に帰ってもあのあり得ない服を着せられる心配はなさそうだった。なにせ、後ろで荷物を持って待っている両親は今でも少し怯えている。
「ラエ」
「何?」
声に応じてウリエルの顔を見上げた時、いきなり抱きしめられた。
別にいやらしい感じでもない。ふわりと優しく、いつも頭を撫でて貰う時の延長のような感じ。
「また、ね」
「うん」
それでも驚きながら、耳元で囁かれた、バリトンの綺麗な低い声に答える。
それからひょいと腕がとかれ、少し開いた二人の間を、春の暖かい風が吹き抜けた。
後ろで両親が荷物を落とした音らしいが聞こえたが、別に気にならない。
そのまま後ろを振り返る。思った通り、二人が大事な荷物を地面の上に落っことしていた。
それから顔だけウリエルの方を振り返って、
「またね」
そう言って笑い、山を下りる道へと歩を進めた。
ウリエルはその背を見送り、見えなくなってから玄関のドアを開けた。