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水玉。
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水玉。

もらったワンピースのサイズは、少しだけ大きめだったがとりあえず着れた。
「うん、サイズ直さなくっていいね」
ラエは呟くとさっさとそれを脱ぎ出し、寝間着を着始める。
風呂で濡れ、まだ乾ききっていない髪が薄紅色の寝間着にかかった。
ラエの家のよりは大きめのスプリングのきいたベッドに飛び乗ると、ふかふかした布団が彼女を迎え入れる。
「気持ちいい〜」
その言葉通り、今日干したばかりの布団は、天陽に当たった後の、気持ちのいい匂いがした。
「『お日様の匂い』か」
そう言えばウリエルがそんなことを言っていたなあと思い出す。
−−−おひさまのにおいがしないし、・・・
あれから一度も、ウリエルに洗濯物を取り込んでもらってはいない。
けれどこれから、雨が分かれば取り込んでくれるだろう。
(洗濯物といえば、あの服何処にあったんだろ)
多分あのモップのように、隠し扉にでもしまわれているのか。それともあのタンスの中の果てしないバリエーションの中に埋もれていたのか。
どっちにしろウリエルは自分の洗濯物は自分でなおすから判然としない。
(でもなんか、いつもと違う感じでちょっとドキッとしたかな)
普通の男の人の格好。似合っていたし、それほど違和感もなかった。案外あれも、ウリエルの一面なのかも知れない。意外と普通なのだから。
でもやっぱり、よく分からないところもあるけれど。でも、悪い人じゃない。それは何故だか分かる。
二週間ちょっとも、家出したとはいえ過ごせたし。
そう思って、ラエは気が付いた。
(・・・父さんと母さんが迎えに来たらお終いなんだ)
ここでの暮らしは、家出して、働くために始めたものだ。
けれども思えばかなり下らないことが原因だったし、何しろラエを父母はこれでもかという程可愛がってくれる。
もしも居場所を突き止めてもおかしくない。というより、もうそろそろ突き止める頃だ。
そうすればここでの生活もお終い。ラエとウリエルはお互いいつもの暮らしに戻る。
ラエは卒業を控えた魔法学校生へ。
ウリエルは家政婦がいないだけの暮らし。
そう考えて、ラエは布団を抱きしめる。
でも、あともう少し。少しだけでも、此処にいたい。
「・・・ウリエルは、どう思ってるのかな」



「・・・」
ウリエルは月明かりの下、ベッドの上で手紙を見ていた。
帰ってきた時に、チラシと一緒に入っていたそれ。
「やっぱり、これ、見せなきゃ」
宛名はウリエルで、内容もウリエル宛。
そのままベッドに寝転がってサイドテーブルにそれを置く。
差出人の欄に、はっきりとした字で、凛韻 源、と書いてある。
ウリエルははっきりと顔を歪めて呟く。
「・・・ラエは、どう思ってるのかな」
別れは刻々と近付いていた。