水玉。
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水玉。

次の日は晴れだった。といってもかなり青空が見えるところは少なく、どうやら夜から雨になりそうだった。
そんな中ラエは洗濯物を取り入れる。
まだウリエルは帰ってこない。
5種類程の花が半分ぐらい残して切られているが、そのどれもが貴重な、しかし需要のありそうな物なので、色々届け先があるのだろう。
そう思いながらふっといつもウリエルが座ってる所を見る。
庭の木から十歩ほど大股で離れた所にある、微妙に草がへこんでいるその場所。
そこにウリエルがいないと、なんだか落ち着かない。
いつものようにラエの方をぼんやりと見ては、勘違いかも知れないがどちらかというと幸せそうにしているウリエル。
その横でいつものように、それにもう慣れてしまったラエは洗濯物を干す。それが普通だった。
いつの間に、ウリエルがいないとこんなに不安になるようになっていったのか。
なんだかんだ言って、やっぱり自分はここになじんでいた。
多分、そのうちウリエルの出荷にも慣れるだろう。
でも、とりあえず、
「早く帰ってきて欲しいな。一応女一人なんだし」
とラエは呟いた。



「ただいま」
ウリエルは帰ってきて、ラエに結構わかりやすい表情で笑いかけた。出かけた二日後のことだった。
そしてまた、ラエの頭をなでた。