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水玉。

水玉。

もう高くなってしまった日が、差し込んでいる。
彼はベッドの上でぼうっと掛け布団を眺めていた。
「おきゃく、さん・・・?」
不意にそう呟き、青緑色のカーペットに足をつけ、立つ。
そのまま彼は、走り出した。



それなりに高い山の中。
「ここ、かぁ」
日の当たる土の道を後ろに、凛韻 羅恵(りいん らえ)は目の前にある建物を見上げた。
結構大きなデザインも良い二階建ての洋館。
表札は一言、
【ウリエル】
と書いてあるだけというのが少し不安だ。
普通は名字も書いてあるはずなのに。というか、名字だけの筈なのに。
(・・・まあいいか)
「よし」
息を吸って、呼び鈴を押そうと手を伸ばす。
ちょうど手が呼び鈴にかかったその時、絶妙のタイミングでドアが開いた。
「え・・・」
ラエの目に、ドアを開けた少年が映る。
白銀の髪に、引き込まれそうな藍色の瞳。ラエがこれまで見た事もない程整った顔。均整のとれた体。
それら全てが重なり、何とも言えない神秘的な雰囲気を―――
放っているはずだったのだろう。
ただ、それは彼が寝間着でさえなければの話だった。
水色の上に、白の水玉模様の上着。
そして、頭の上に乗っかった、来ている物と同じ柄の帽子。
彼は完璧な寝間着だった。
(なんで!?)
「・・・」
そのまま彼は、じっとラエを見つめる。
寝間着とはいえ、その顔は信じられないほど、美しかった。
(ななな、なに〜!?)
彼の顔が彼女にだんだんと近づいてゆき−−−
「・・・・誰?」
クリ、と首をかしげて彼が言う。
「あ・・・えっと、メイドさん募集してるって「真麗亭(しんれいてい)」で聞いたんですけど」
そう言って、ラエはカバンから紙を取り出す。
『     +++求人+++
     メイドさん。
     住み込み。
     委細面談、一人ぐらい。
     ウリエル=メーシー=ウオッチサウンド』
冒険者の店と、職のあっせんをしている店の用紙。彼自身が募集するために出したはずの、それを見せられて、ここまで来たはずなのだけれど、どうしたんだろう。
「……そう言えば、出したっけ」
ぼうっと、彼が言う。
「忘れてた………」
「わすれてたって」
ラエは呆然とした。それで良いのだろうか。
なんだか変わったところだ。
けれどここ以外、行くところはないかもしれない。
「まあいっか。で、誰?」
「ラエ=リインと申します。あの、で……」
「採用ね」
「ええ!?」
「だって他の人待つのめんどくさい……」
そんな事で、軽々しく決めてもいいのか。
ラエは不安になったが、
(これってちょっとラッキー)
と思い直すことにした。
こんな事には前向きにいけばいい。もともとそういう性格だったのだし、何を迷っているのだろう。
「じゃ、中入って」
「あ、はい」
ラエは素直に玄関に入り、靴を脱ぐ。
屋敷は外から見れば大きかったのだが、中を見るといっそう大きく見えた。
ラエの家よりは高い壁、長い廊下に、壁と天井についている窓。そこから差し込む陽光。
やっぱり大きい。そうラエは思った。
「とりあえず、食堂はあっち。んでその隣が空き。食堂のあたりの廊下を曲がればキッチンがあるから。
 後、俺の寝室とか、はまあ暮らしてれば分かる。
 とりあえず、俺と交代で食事作って、てきとーに掃除してくれればいいから」
ぼうっと部屋の一つ一つを指してウリエルが説明する。なぜだか妙に慣れているように見えた。
「はい」
「給料は……花」
「はい!?」