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遊園地に行こう!

〜人を呪わば穴二つ〜

「遊園地に行こう」
始まりは、あいつの一言だった。



ここ、ウォルア王国の首都、ウィルード(正式名:ウィルー・ダルセリア・ウォルア・キャピタル)には、観光地がたくさんある。他の大陸からの観光客だって年に何千万人も来る程だ。
その中で、特にカップル・子持ちの方々などに人気が高い遊園地がある。
その名もウィルードジョイランド。11年前に建設され、安定させた魔力を動力源とした遊具で当時の注目を集めた観光名所である。

その前に、私達はいた。
特に今、夏にはここはにぎやかになる。プールなんかの涼む為の施設の充実がその原因だ。
家族連れ、カップルはもちろん、友達できたらしいグループ、観光客までの、喧噪がごっちゃまぜ。
それを受け入れるゲートは大きく、入場券売り場も満杯。
見上げながら、私はフリーパスで入れる身分ってありがたいなあ、と思わず感嘆してしまった。
「うひゃー、改めてみると大きいな〜」
「そうだねー」
隣でクラスメイトのダフィラシアス=テルブと、チヨ=サノモンがのんびりと言葉を交わす。
「まあ、そうかもね……」
私、ソフィアルティア=ガランディッシュは目の前の建物を見つめ、ため息をついた。
ここに来る事自体は、そんなにイヤな事ではない。
遊園地だし、綺麗だし、人気スポットだし、楽しそうだし。
友達と来るなら、何ら問題はない。
「前にもここ来たよねー、ソ・フィ・!」
後ろから‘例のあの人’の、ハートマークが飛んできそうな声がしなければ。
「ああそうかもね」
「つれないなあ、でもそこが俺のソフィア!
 かわいいっ!」
そう言って抱きついてこようとしているのは、毎度おなじみ我が幼馴染み、エリックザラット=ウィルクサード、通称エリック君でございます。
けれど悲しきかな、何故こいつがここにいるかというと、原因は私にある。
ズバリ、私が作ったくそ不味いクッキー。



それは、一日経っても回復しないエリックの見舞いに行った時だった。

「じゃーねー、遊園地に行こう!」
そう言ってエリックはにっこり笑顔。
「は!?」
「だってー、デートしたいんだもん。
 だからクッキーのお詫びとしてウィルードジョイランドへゴー!!」
はあ?
「なんで!?」
「いーじゃない、ソフィア」
一緒に見舞いに来たチヨが、にこにこ笑って言う。
「そうそう。ま、俺らもついてくから。お前ら見てると面白いんだよなー、色々と」
テルブが早くも色々と勝手に想像してくれたらしく、にやにやと小憎らしい笑みを浮かべる。
「いろいろとって何ー!!!」
この二人は本当に何を考えているんだか。もう少し人の心を汲んでくれ。
「あと、ハイ、これ」
エリックが一枚の紙を取り出して言う。
「え?」
その紙には、
『ソフィアへ。がんばれ。父母』
………。
「これぐらいいつもの事でしょ」
平静を装う。こんな事にも慣れてしまった自分が怖い。
いつもいつも何故かエリックは父さんと母さんの許可を取ってくるのだ。答える親も親だと思うけど、仕方がない。
「でももうチケットとったもーん。しかもフリーパス!」
「はあ!?」
「もったいないでしょー。
 ソフィアが使わないなら、ただの紙になるんだよー。
 行きたくないのー?」
まるで三つ子のように、同時にこっちを見る三人。一人は目を潤ませ、一人は呆れたように笑い、一人はため息をつく。ずいぶん個性のある三つ子だ。
そのうち一人は、私のせいで倒れた、幼馴染みの王子様なわけで。
……私のせいで倒れた王子様なワケで!
「……分かったわよ」
仕方なく頷く以外、選択肢はなかった。
でも、し・か・た・な・く!
別にエリックと一緒にいれるから嬉しいとか、これっぽっちも考えてないのよ!

エリックがフリーパスを取り出して、私の腕に巻く。
「じゃーいこっか」
エリックが碧と茶の瞳を細めた。
今更ながらに思うけれど、変わった瞳だ。
澄み切った碧の瞳と、少し濁った茶の瞳。昔は、どっちも澄んでいたような気がするけれど。
それと、整った顔にそれなりのブランドのシンプルながらも良い服。
私は母さんが前に奮発して買ってくれたワンピースだってのに、その何倍もしそうな服だ。
「ん」
私は頷くと、入場ゲートと青色のフリーパスを確認し、ゲートに歩き出した。
4歳の時だから、11年振り。
前に、ここにはエリックと来た事がある。
その当時とあまり変わってないみたいだった。



「さー、あれに乗ろー!」
「え!?」
遊園地に入るなり、エリックが指さしたモノ。
『デンジャー・ライドン』
妙な名前なのに、人の三半規管を狂わせることには最高級のレベルを誇ると名高い絶叫アトラクション。あの恐怖のレールの上を走る乗り物!
「さーさーいこー!」
「いやちょっと……!」
「だーいじょーぶ! 意外といけるかも!」
ぐいぐいと私を私の意思お構いなしに引っ張るエリックの力。
「チヨ、テルブ……!」
「あっ、私おみやげ買ってくるねー」
「前者に同じく!」
うそー! クッキーの時といい、なんて無情な!
目の前が真っ暗になりそうになりながら、私は地獄からやってきた蛇が二匹つながったような赤いレールに日が照りつけているのを見上げた。
ソフィアルティア=ガランディッシュ、15歳。
絶叫系に乗って、吐かなかった事はありません。

それからどうなったのか、私は覚えていない。
どんな風にフリーパスを見せてゲートをくぐり、バーを降ろして体を固定したのか。
地獄だった。
世界が反転するわ平衡感覚ぶっ飛ぶわ体浮いてるみたいだわ。洗濯機に放り込まれたようだった。
そしてその洗濯機、もといコースターが止まった時、私にはバーを上げてくれる係員さんが、救世主のように思えた。
ああ、こんにちわ明るい外界。
くらくらするし吐き気満杯だし気を失いそうだけどエリックに一言文句を言ってやる!
「ちょっと、エリック……え!?」
意気込んでエリックの方を振り向いた私の目に入ったもの、それは。
私より真っ青なこの国の宝。
「あ……ソフィ……何……?」
まさに吐きそうな顔でエリックがこっちを向く。
「あ……」
あんたが酔って、どうするの。
感じるのは、呆れか心配か。吐き気も何も、ぶっ飛んでくれた。



「あ〜、ソフィアのひ・ざ・ま・く・らっ」
……語尾にハートマークでも付いてそうよね、本当に。もう慣れた話し方だけど。
「・・・落とすわよ、頭」
「あ、それはだめ〜」
そんな口をたたいていても、ベンチに座っている私の膝を図々しく占領しているエリックの顔は真っ青。クッキーの時並に気持ち悪そうだ。
「ああ、ソフィアに膝枕してあげようと思ってほんとは俺の方が酔う事忘れてた自分に乾ぱ……うぷ」
「静かにしないとトイレにつっこむわよ」
そんな事できない程真っ青だけど。
「んー」
そういっておとなしく私の膝に頬をすりつけるだけにする、エリック。
いつもなら『ああ、そこまでして俺を吐かせたいのね? ソフィアのいぢわる』
なんてわざとらしく悶えながら言いそうなもんなのに、おとなしい事だ。
しかも吐こうとするとこいつの護衛な黒子さんが出てきてきっちり袋を構えながら『吐かせないで下さい!』と小動物の様な瞳で訴えるものだから、うっかり吐かせもできない。
しかもこの情けない黒子さん達の正体、実は王宮騎士団の精鋭らしくって、エリックを密かに護衛するために黒子さんになってるみたいだ。
ちゃんとした事はまだ教えてもらってないけど、黒子さんの気配が感じ取れなかったし、それだけは何となく分かる。
そういう黒子さんがいるとこだけ、王子だ。悲しいくらいに。
本当は遠いところにいる、この国の宝、跡取りの王子だ。本当はここにいるのもあり得ない。
ふとした事で、私はそんな事を突然、いつも不自然なまでに考え込んでしまう。すとん、と気分がそんな時は不思議な位に落ち込む。
「ソフィア? どうしたの?」
ひらひらと私の目の前で手を振るエリック。
真っ青なのに、私の心配をしている。本当に、本当に心配そうに。
「エリックなんか……」
嫌い、なのかな。それとも、好き、なのかな。
どんな顔をしているのか、自分では分からなかったけれど、エリックは私の頭をなでて、ただ微笑む。
昔から、エリックはときどきこんな顔で、私を見つめていた。
私を宝石のように扱い、業務を必死で早めに終わらせ、城を抜け出して。どうして? 分からない。
そんな事を考えながら、エリックを見つめてしまう。
細められた碧の目は、澄み切っている。綺麗な綺麗な碧。
それだけなのに、体中がなんだかほてって、敏感になってくる。
髪を触るエリックの指。さわさわと髪の音。
どうしよう。動悸が速くなってきた、そのタイミングで、がらんがらんがらんと、漫画とか小説とかでお決まりの音が鳴った。
今私が座っているベンチは人が隠れるに丁度いい茂みの前にあり、すぐそばに『デンジャー・ライドン』、そして向かって左に『ホロウ・ラビリンス』というお化け屋敷、右に入り口とコーヒーカップ型の乗り物と『入り口あちら』と書かれた看板がある。
『デンジャー・ライドン』以外、昔私とエリックで来た時と同じアトラクションの数々。
バージョンアップはしていってるらしいけど。
そして今の音の原因は、茂みの中から転がってきたオレンジジュースの硝子瓶。
おそらく環境に優しくない誰かがおいていった物だろうけど、大きな風が吹いたわけでも無く転がってくるような代物ではない。
………。
静かに腕を上げて、ベンチの後ろの茂みの中へ肘鉄をくらわせる。
「ごふゥ!」怪しい声と、確かな感触。どうやら直撃したらしい。
「いてえなあ、何するんだよガランディッシュ」
テルブが腹を押さえながら茂みから出てきた。
葉っぱが服のあちこちにくっつき、高価そうな靴も泥まみれ。
「あんた、何でここにいるわけ!?」
「捜してたら見かけてさ、な〜んか膝枕なんかしてるし」
すまなさそうに言うけど、目が思いっきり笑っている。こいつ絶対に楽しんでる。
「だからって声もかけずにのぞき見なんてしないでよ!」
「だってガランディッシュがエリックに膝枕してるんだぜ、これを見ないでなんとする!」
「なによそれ!」
「そうそう。でもどうせのぞき見するならこんな瓶転がさないでよ」
酔いが治ってきたらしいエリックが不満そうに言う。
「だまっときなさい」
鉄拳一発。
「ええ〜、だって俺らの愛の一場面でしょ、どうせなら誰か見てたほうが……。ぁ、でも俺たちだけの思い出っていうのも痺れるぅ」
シェイク。
「うわあん、ソフィアがいぢめる〜」
「勝手に言ってなさい」
「ああ、ごめん! 俺のブロマイドあげるから許」
「せないわ」
「………」
エリックは沈んだ顔で座り直し、静かに、速やかに、しかも驚く程自然な動作で私のカバンを開けると、どこかから取り出した自分の写真を軽やかに、
「放り込むなーーー!!」
取り上げられたカバンをエリックはそれはそれは口惜しそうに見つめる。誰も同情なんかしないけどね。
しかしエリックは、予想に反して何かに気付いたような顔になった。
「それ……」
その顔が、じょじょに喜びに変わっていく。
ん?
エリックの視線を追って、私はそのカバンを見た。
何でかお気に入りのベージュ色に、濃いめの赤のラインが縁に入った、肩にかける事も手に提げる事もできてチャック付きという便利な一品。
前にエリックが買うというのを押し切って自費で買った。
何でエリックが喜ぶの?
まじまじと見つめると、ひもの部分が目に入った。
そこから下がってる、クマさんが羽の生えた卵を持ってるマスコットのキーホルダー。
……しまった、これは。
「俺が4年前の誕生日にあげたやつだぁ。愛を感じるなあ」
くねくねと身をよじらせて、褒められた子供のように、エリックが嬉しそうに笑う。
「ち、違うわよ! ただいいデザインだからつけてたの」
「そう? でも嬉しい」
にこにこと無邪気に笑われて、出る言葉も詰まる。
本当に、何でもない、はずなのに。
でもそんなのとは裏腹に、顔に血が上っていく。
そんな私を見て綺麗な顔でエリックは微笑む。
それで、もっと、顔が、熱くなって、火照って、何も言い返せない。……応えられない。
「……何かが足りない。そう……」
その横で何やら悩んでいたテルブが突然呟いた。
「イベントが」
「え?」
私達が疑問の声を上げると同時に、テルブはおもむろに腕をあらぬ方向へ突きつけ、
「いって下さい、黒子ーズ!」
『ラジャー』
さっき私に目で懇願していた黒子さんと同じ格好の人々が現れた。
そして私達を両脇からがっしりとつかんで胴上げ前の人みたいに自分たちの上に担ぐ。
「ちょ、なにする……」
のよ、と言う間もなく。
「では吊り橋効果をねらって」
テルブが困惑している私達に向かって、まるで徒競走のピストル係のように手を振り上げ、
「黒子アンド俺による『王子と娘をくっつけよう同盟』により、エリックザラット=ウィルクサード、ソフィアルティア=ガランディッシュ、両名を『ホロウ・ラビリンス』ツアーへご案内ー!」
一気に振り下ろす。
そして黒子さんたちも徒競走の選手の如く『ホロウ・ラビリンス』に向かって土煙。
視界にお化け屋敷が迫る。
「ちょっとまっ・・・・!」
再び私を酔わせる気か、テルブ!?
辺りの景色が霞み、暗くなった所で急降下。
おしりに鈍い痛みが走る−−−わけはなく。
ふんわりと着地させられた。
黒子さんたちはそのままゴキブリ同然にカサカサと闇に紛れて逃走。いっそのことあだ名をゴキブリにしてどうだろう。
あたりは真っ暗で、いかにもな音楽が流れてくる。
つまり、お化け屋敷な所な訳で。
ああ、もう。何でテルブはああなのか。
いつの間にやら黒子さんたちと同盟結んでるし。てか黒子さん達もあんなのと同盟結ぶなよ。
とにかく、エリックを捜さないと。
テルブたちは知らないかもしれないけど、エリックは恐がりだ。
しかもこういう日に限って『真・怪談ストーリー』あたりを読んできてしまっていそうな。
怖いなら読まなきゃいいのに、読んでしまうという悲しい性。
いつもそれを理由に一緒に寝て欲しいと言ってくるけど、それも全部本気らしい。
よっこらしょと地面に手をついて起きあがろうとしてみる。
ごつ、と手に何か当たった。
頭蓋骨だった。
けたけたとそいつが笑う。
嗤う。笑う嗤うワラウ嗤う・・・・・・
「きっ・・・やぁぁぁぁぁあーーーー!」
逃げろーーーー!
隣で吸血鬼がばたーんとでようが井戸から土左衛門が出ようがそれが猫女とキッスしてようが関係ない。
逃げろ、逃げるんだ、ジョイーーー!
「ジョイって誰!?」
自分へのつっこみで我に返った。行き止まりではないけど、迷った。あたりは真っ暗で、誰もいない。
いたとしてもバカップルとか、そんなかんじ。どうしよう。
その場にへたり込む。
エリック、置いて来ちゃったし。
ここは迷路もかねてるし、非常口も光ってない。
思えばあんな骸骨、ただの仕掛けなのに。どうして恐くなったのか。やっぱり無心だった四歳児とは感覚が違うんだろうか。
このまま、どうしよう。
床が冷たい。なんだかそれも心細い。
昔も、こんな事があった。
前にこの遊園地に、エリックに連れられてきた時に。
私ははしゃぎすぎて、この迷路の中で迷子になった。
独りぼっちになって、わずか4歳の私は泣きまくった。
『うわあああん、こわいよくらいよおなかすいたよアイスクリームたべたいよぉ、エリックにいちゃあ』
だとかなんだとか叫んで。
ああそういえば、あの頃はまだ私はエリックを『エリック兄ちゃん』と呼んでいて、懐きまくってた。
何かと言えばエリック兄ちゃん、エリック兄ちゃんとすぐ駆け寄って抱きついて。
今は、もうそんな事はない。
何でか知らないけど、いつからかエリックは私にいつもあんな態度で、か私は素直になれなくて。
私はあいつの一体なんだというんだろう。
ただの幼なじみのはずなのに。
いつも、よく分からない。
王子としてのエリックは優秀で、非の打ち所がない。その評価を、王宮を私に会うために抜け出す事で、下げている。
エリックの親と、私の親が何故か知り合いだったというだけで私が0歳の時からエリックは私を知っている。
私が生まれた時に『この赤ちゃんちょーだい』とのたまったという逸話があるくらいに。
けれどそれだけのはずなのに。
何故だろう。
なんで、あの時、私を、お化けを怖がりながら見つけてくれたんだろう。
『俺のソフィア感知レーダーに狂いはない』とかホントなら人間離れしたこと言ってたけど。
なら、早く迎えに来い。
私はエリック兄ちゃんとはもう呼ばなくなったけど、早く、『ソフィアー』って叫んで、昔みたいに。
エリックのバカ。
お化けに震えてなんかいたら、承知しないから。
遅いのよ、あんたは。
でもいいから、迎えに来て。
あの、馬鹿みたいに私を心配した顔を見せて。
「ソフィアー!」
声が、聞こえた。
「エリック!?」
少しだけアツイモノが、私の制止を振り切って流れ落ちようとする。
ぎゅっと一気に、私はエリックの腕に締め付けられた。
床とは違って温かい腕。真っ暗だと思ったのに、けれどわずかな光に反射する金の髪。輝く、澄み渡った碧の瞳。
「遅いーーー!」
私の鉄拳がとんだ。
当てるつもりもなく、あたりもしなかった。
嬉しかった。



光が一瞬、頭を停止させる。
見えた物は座っていたベンチと、茂み。そして『デンジャー・ライドン』。
「出口だねー、ソフィア」
「そーね」
「なにその薄い反応ー」
「泣きそうな声出さないでよ」
「お、出てきた出てきた」
テルブが嫌みなくらい爽やかな笑顔で出迎え。
「エリック様、いかがでしたかー」しゃあしゃあと黒子ゴキブリさんたち。
「うん? 別に」
そう、別に何でもなかった。
エリックは恐がりをいつの間にか直してやがってて、逆に私の方がどっちかというと怖かった。
けれど私のプライドに賭けて『きゃー』なんていってエリックに抱きついたりしてませんとも。
「とりあえず、そこに整列ー」
エリックの、テルブとためをはれるぐらい爽やかな、でも怖い笑顔と声。
「ェ、エリック様?」
「テルブ。ちょっとこっちー」
「ガランディッシュ、なんかイヤな予感がするんだけど」
「黒子隊、GO!」とエリック。
「うわー!?」
先ほどの私達と同じように担ぎ上げられるテルブ。
そして私は手を振り上げ、先程のテルブと同じようにあらぬ方向へ指を突きつけ、
「では、『王子と娘同盟』により、『黒子さんとの『デンジャー・ライドン』5週旅行』へごあんな〜い」
結構楽しいかも、こんな事言うの。
『わ、我々もですかっ!?』
「雇い主には逆らうなよ」
にっこり笑ったまま、澄み渡った目は怒らせてエリック。
「ソフィアは抱きついてこないし迷子になるし。俺の根性のソフィア感知レーダーがなかったらどうなったのか分かんないし、ねぇ、ソフィア」
「そうよね、エリック」
微笑み合う私たち。
「なんだよそれ! 仕返しか!?」
「さあ? でもやっぱ怒りたいし」
『鬼ーーーー!!』
黒子さんとテルブの叫びが、遊園地の紅く染まった空にこだました。
人を呪わば穴二つ。自業自得だとも!



第二話 おわり

よかったら一言感想をどうぞ。無記名でも大丈夫です。

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