おまけ

〜見つけられた日記〜

ふう、とため息をついてエリックはその赤い背表紙の日記を閉じた。
なんだか壮絶な感じの話だった。
本棚の裏の隠し扉にそれを戻す。
何故それを発見できたのか、エリックにとっても意外だった。
ただ、何となくだったというのに。
「エリックにーちゃ、あーそーぼー」
扉の向こうからソフィアの声が聞こえる。
「ああ、今行く!」
エリックは急いで出かける準備に取りかかる。
そして、ふと手を止めた。
あれを発表したら、どうなるのだろう。
(無駄だろうな、そんな事しても)
歴史に一石を投じはするだろうが、色々な文献を用いて学者は反論するだろう。
自分たちが信じてきたものをそう簡単にひっくり返したりなんかしにくいだろうし。
それに、真実がいかなるものでも、クレハレイクが革命を起こしたことは間違いない。
そして、ディクレサスが殺されたことも。
7歳にしてそこまで考えている自分が虚しくなり、エリックは急いで準備を再開した。
(そうだ。ソフィアとの話のネタにしよう)
こうして、希代の天才王子に、日記は見つけられた。
およそあの革命から800年経ったころだった。

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