理由なんかいらない。
俺は、理由なんて無しに、姉上を愛している。
告白して、振り向かせて、付き合って。
許されない。けど、それで良い。誰にも迷惑はかけていない・・・と思う。
昔から、姉上を慕っていた。あのさらさらの髪に触れているだけで、幸せな気分になった。
だけど、付き合ってはいけない理由はある。
ああ、どうしよう。
理由なんかいらない。俺のこの気持ちに偽りはない。
ただ、許されない。
都合よく、血が繋がっていなければよかった。でも現実はそう甘くはない。
なら、似ていない姉弟にして欲しくなかった。
一見、見ただけでは気付かないだろう。
どうするべきだ? どうしたらいい?
どうしたら・・・・。
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俺はその青い表紙の日記を閉じた。
まずい。ダフィラシアスが悩み始めている。日記を読んでる俺も俺だが、血が繋がっているってことを少しは疑えよ、我が弟よ。
そう。俺の弟と妹は、血が繋がっていないのだ。俺とは血が繋がっているけど。
俺の両親がそれぞれ外に作った子供。会わされた時、確かに可愛いとは思ったが、俺は両親に完全に失望した。
その代わり馬鹿みたいに二人を可愛がったんだけど。
どうしよう。本当に。こんな複雑な事情、とてもあいつらに言えない。
どうしよう、どうしよう。
悩んでいると、チヨが宿題が分からないと呼ぶ声がする。
言うべきだ。そう思った。
俺がチヨを愛しているのに、理由なんかいらない。
それと同じように、理由も無しにぱっと決まった。
そうだ、言ってやろう。言ってやるのだ。今度。
お前達に、別れる理由なんてないんだよ、と。
大好きなら大好きと、言いたければ、言えばいいんだよ、と。